ゴー宣DOJO

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笹幸恵
2015.3.11 09:20

4年目の3.11

今年も3月11日がやってきた。

昨年は靖国神社にいたけれど、

今年は家でテレビの前に居座り、

追悼式の1446分の黙祷に合わせて

目を瞑る。

 

こんなことしかできないのだから

情けないけれど、

震災から1か月後、現地へ取材に

向ったときのことを思い出す。

ヘリで上空から見た三陸の海岸は

すべてが流され、のっぺりとしていた。

何も残っていなかった。

私はカメラを向けながら

「なんだこれ」

「なんだこれ」

とつぶやいているだけだった。

 

NHKでは、被災者のアンケートを

発表していた。

「どうしてあれだけの被害が出たのに

世の中は原発再稼働に向っているのか。

人はこんなにも忘れてしまうものなのか」

という主旨のコメントをしている人がいた。

まったく同感だ。

もっとも、忘れてはいないけど

現実を見て見ぬふりをしている人が

多いのだと思う。

 

70年前だってそうなのだ。

昨日、310日は東京大空襲があった日。

(陸軍記念日でもある)

忘れるな、忘れるなと言ってみても、

歳月の経過とともに風化は免れない。

そして、見たいものしか見ない人々の

声のほうが、大きくなっていく。

 

当たり前にある日常が、

決して当たり前ではないことは、

いざ我が身に降りかかってこなければ

ピンとこない。

 

夕飯の買い物に出かけた。

空の青さも、梅花の可憐さも、

当たり前のように目の前にあるけれど

突然当たり前ではなくなるかもしれない。

 

ちょっと感傷的な気分になったところで、

近所(他人の家の庭)の梅をパチリ。

笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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